モノづくりとヒトづくりの現場から4

子どもたちの未来を考える 〜ドリームキャンプへの想い〜

100人の中学生に夢を聞いて、感じたこと

ある日、私は地元の中学2年生100人から「夢」を聞きました。
全員の夢をひとつずつメモしていると、違和感を感じました。驚くほど偏っていたのです。

女の子はほとんどが「教師」「幼稚園教諭」「看護師」。
男の子は、具体的な夢を語れる子ですら
「サッカーが大好きだから、用具係になりたい」
「野球が好きだから、社会人野球の選手を目指したい」
そんなふうに、自分の好きなこととほんの少しだけ結びつけた夢を口にする子がほとんどだったのです。

私はショックを受けました。
これは子どもたちの問題ではない、大人たちの責任だと。

私たち大人は、どれだけ多様な生き方を見せられているだろう?
私たち自身が、どれだけ胸を張って「大人って最高だぞ!」と語っているだろう?
もし、子どもたちが知らない世界があるなら、それは私たちが見せてこなかったからだ。
夢は、持てと言われて持つものではない。
「こんな大人になりたい!」と心から思える存在に出会うことが、夢の原点になるんだ。
自分こそが人生の主人公であるとアントレプレナーシップを持ってもらわねば。
いつか、自分自身がひとりの大人としてその責務を果たさなければ。
そう強く思いました。

自分自身が経験した「可能性の広がり」

私自身、小学4年生の時に、父親の仕事の都合でアメリカに1年間住むことになりました。
英語は全く話せない。でも日本人学校ではなく、あえて現地校を選びました。
しかし、そこでの経験が私を大きく変えました。

アメリカの学校では、授業中に飲み物やおやつを口にしてもいい。
お昼は自分で売店に行き、買って食べる。お弁当はリンゴと人参をそのままかじり、お菓子を食べる。
クラスでは発表の機会が何度もあり、自分はこうありたい、こう考えているとしっかり述べねばならない。
でも、実力があればしっかり認められる。
そんな文化に触れました。

全く話せない私の救いになったのは、クラスのトップ2人。
実力テストを受け、採点をしたのが文武両道で人気者のジョナサンとカーネルでした。
彼らは公文仕込みの計算スピードに驚き、すぐに力を認め私をサポートし、まだ偏見も残る環境の中で、仲間たちに私を紹介してくれました。
小さなきっかけ――たとえば、算数が少し得意だったことや、ポケモンの話題で盛り上がれたこと。
それだけで、友達ができ、自分の場所ができました。

さらに、日本では平凡なレベルだったサッカーが、アメリカでは何故かスターレベルで、一気にヒーロー扱いされました。
夏休みには、マルチスポーツキャンプに参加して、各地から来た文武両道のアメリカ人たちと毎日違う競技で勝負!アジア人に負けることを悔しがっていた彼らでしたが、徐々に実力を認めてくれ、勝ったり負けたりしながら、次々に仲間が増えていきました。

「場所が変われば、人はこんなにも変われる。」
「実力を認め称える文化は可能性を広げる。」
「自由でオープンな環境はとっても楽しい。」

10歳の私は、1年間で強烈な体験をしました。
そしてそれは、今の私の軸になっています。

ドリームキャンプに込めた想い

ドリームキャンプは、私自身の原体験をもとに立ち上げた挑戦です。

・子どもたちに、多様なロールモデルとの出会いを
・小さなチャレンジから仲間とと共に成功体験を積む機会を
・自己肯定感を育み、「自分で未来を切り開く力」を

この3つを軸に、未来を拓くリーダーを育てます。

ドリームキャンプは、単なる体験イベントではありません。
子どもたちの中に、「挑戦する心」「自分を信じる力」「仲間と協力する力」を本気で育てる場です。

近年は文部化科学省でもアントレプレナーシップの育成に注力しています。
https://entrepreneurship-education.mext.go.jp/

我々はその先駆者のひとつになろうという思いで、このプロジェクトを立ちあげました。
今までの日本のキャンプでは物足りない。人生が変わるような体験をお届けしたい。
そんな思いを持ってつくり上げたキャンプ、是非ご期待下さい。